ドローンで西の湖一周

 



その昔、「西の湖」につながる琵琶湖の周囲には伊庭内湖、弁天内湖、中の湖が
つらなっていました。現在に至るまでの周囲の状況から、今の「西の湖」があります。
琵琶湖最後の「西の湖」としてこれからも大切に保存していきたいと思います


西の湖の自然

 びわ湖の内湖   西の湖の生き物   鳥獣保護区  ラムサール条約と水鳥  西の湖干拓の歴史  
 
 
  西の湖は安土山の西にあることからきています。面積は2.8キロ ㎡、水深は1.5mの浅い湖です。
 この一帯は干拓地で、
昭和17年までは安土山から北はびわ湖につながっていました。
 その周辺のヨシ群落は近畿地方では最大級であり、周囲は水郷は張り巡らされ、「安土八幡の水郷」として琵琶湖八景の一つとして有名です。
 ヨシ原を主体とする湿地には動植物が多く確認され、
2008年10月30日にはびわ湖のラムサール条約湿地登録エリア(1993年6月10日)が拡大され西の湖が追加登録されました。
 ヨシ群落は魚や、渡り鳥ヨシキリの繁殖場所でもあり、晩秋から冬にかけては水鳥がやってきます。2006年には西の湖一帯は鳥獣保護区に指定されました。
 

 
西の湖は琵琶湖最大の内湖で面積は内湖全体の約半分を占める約222haを有します。
内湖とは、「琵琶湖周辺の内陸部に独立して存在するが、琵琶湖と何らかの形で接続されている水面形態をもつ湖沼のこと」で、湖水の循環による流域全体の浄化機能を果たすとともに、在来魚の産卵場所でもあり、多様な生物の活動場所になっています。
 
 昭和の初期まで、琵琶湖周辺には大小37個の内湖が広がり、総面積は2902haに及んでいましたが、戦後の食糧増産や開発により干拓が進み、現在では残存内湖は23ヶ所、総面積は425ha(約15%)にまで減少してしまいました。
 西の湖は、食糧事情が改善された等の幾つかの理由から、干拓されずに現在まで残りました。
 
西の湖には、ヨシ群落が近畿地方で最大級の109haあり、大規模な温地には貴重な動植胸が数多く確認さ)れています。ヨシとは、イネ科の植物で.生物学的に分けると.ヨシ.ツルヨシ.セイタカヨシに分類され、湖や河川の水辺に生えています。通常、水面から±50cmのところに生えています。
 
 
ヨシ原・ヨシ群落
 ヨシは成長して広がっていき大ぎなヨシ原を作ります。そこにはヨシだけでなく、マコモ、カサスゲ、オギ、ウキヤガラ、 シロネなどの草本、ヤナギなどの樹木も一緒に生えており、多くの魚類や烏類が住処としています。これをヨシ群落と 呼んでいます。 
 
ヨシの3つの働き
 1)ヨシによって水の流れを弱くして水の汚れを沈める働ぎ。
 2)ヨシの水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解する働き。
 3)ヨシが水中の窒素、リンを養分として吸い取る働き。
 
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ヨシの用途
 伝統的な日本家屋には多くのヨシが使われていました。例えば、ヨシ屋根、ヨシすだれ、夏障子、ヨシ衝立などがあります。現代の生活では、ヨシ製品を使うことは少なくなっています。
 
 ヨシ原の管理
 冬になると枯れたヨシの地上部分を刈り取るヨシ刈りが行われ、ヨシが収穫されます。刈り取った部分は抜け殻的でヨシの生体には影響がありません。ヨシは刈り取りを行うことで、次の年には立派なヨシが取れると雷われています。ヨシを刈り取った跡に同じヨシ原に生えていたカサスゲなどの雑草を敷ぎ並べ、しばらく日を置いて乾燥させた後、雑草を燃料にして火で焼き払います。春になると良質の美し
 いヨシがすくすくと生えてきます。
 


 

平地や水辺に生活する烏類の重要な生息地となっています。ヨシ群落は繁殖場所としてだけではなく渡り鳥の中継地として、また、ガンカモ類・ヨシキリ・カイツプリなど、多数の鳥類のねぐらとして重要な役割を果たしていることから2006年11月1日に鳥獣保護区に指定されました。
 
  魚や貝
 ヨシ群落には、多くの魚の卵が産み付けられます。卵からかえった小魚は、餌場や隠れ家としてヨシ群落で育ち宏す。コイ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、ホンモロコなどヨシ群落内に卵を産み付け、小魚の時はこの中で生活をします。ヨシノボリ、スジエビもヨシ群落の中に多く生息しています。カワニナ、ヒメタニシなどの貝類は、ヨシに付いて生活をしています。ヨシ群落は魚や貝の宝庫です。
 
 
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 滋賀県には約310種類もの野烏が観察されていますが、多くの野鳥がヨシ群落を利用しています。それぞれ卵を生んで、子供を育てたり、餌をとったり、敵から逃げてきたり、ねぐらとしたりしています。カイツブリ、オオヨシキリ、バン、カルガモなどはヨシ群落の中で卵を生みます。また、スズメ、ツバメ類は、ヨシ群落をねぐら(巣は違う場所に作る)にしています。
 

 ヨシキリ 

オオバンとカイツブリ  

 
  正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、環境に関する国際的な条約としては最も古いものです。1993年6月10日に琵琶湖が登録されました。2008年10月30日に登録エリアが拡大され、西の湖が追加登録されました。この条約では、渡り鳥や魚をはじめとする、いろいろな生き物がすめるよう湿地の保全と賢明な利用(WlSEUSE:ワイズユース)をめざしてい豪す。
 
ラムサール条約 

 西の湖水鳥観察会 B&G海洋センター 

 カイツブリ
 
滋賀県の県鳥で1年中見ることができます。全身茶褐色で夏には顔の栗色が目立つようになります。
 

 カンムリカイツブリ
 
冠羽をもつ大型のカイツブリで、長い首が特徴です。
 

 マガモ 左が雄  右が雌
 
雄は光沢のある緑色の頭、白い首輪、褐色の胸、黄色いクチバシが特徴です。
 
 
 コガモ 雄
 
雄は目の周囲から後ろに伸びる暗青緑帯を褐色が囲む頭部、黄色い下尾筒。

 ヒドリガモ 左2羽が雄 その他3羽が雌
 

 ヒドリガモ 雄
 
雄は頭から首が茶褐色で額はクリーム色。
 
 
 キンクロハジロ 雄
 
雄は後頭に垂れ下がる冠羽があり、目は黄色、白い腹を以外は全身黒色。

 キンクロハジロ 雌
 
雌は全体が褐色で腹は灰色。
 

 オオバン
 
全身は黒色で額とクチバシは白、目は赤色。
 

 バン
 
鮮紅色の額板とくちばし、先端は黄色。
 

 ヨシガモ 雄
 
雄の冠羽は紅紫色と緑色の光沢がある。白い首の中央には首輪のような黒線がある。
 

 ヨシガモ 雌
 
雌は皆似ているので見分けが難しい、オナガガモの雌によく似ている。
 
 
 下3羽カルガモ 上は2羽はヒドリガモの雄と雌
 
一年中雌雄同色、カモ類では珍しく、日本中どこでも見られる。
 
 ハシビロガモ 雌
 
クチバシが目立って大きいのですぐに見分けがつく。

 ミコアイサ 雄と雌
 
雄は目の周囲がパンダのような模様からパンダガモともいわれている。雌は全体が黒く顎だけ白色。
 
 
 コサギ

 カワウ 

 ホシハジロ 雄
 
雄は頭から首が茶褐色で背中は灰色。
 
 
 オナガガモ 上が雌  下が雄
 
雄の頭部は茶褐色で腹面の白部分が首を経て顔の両側面にくい込み、尾羽は長く伸びている。
 




 

 昭和17年
  昭和17年以前の干拓される前の西に湖周辺
  西の湖の東に小中の湖と伊庭内湖があった。
 
  この一帯は良質なよしの産地として、また、伊庭、
  常楽寺、白王など7つの村に漁村があり  鮒、鯉、鰻、
   モロコ、エビ、カラス貝など漁業が盛んでした。
 
 昭和22年
 

昭和17年から5年かかって昭和22年、小中の湖
と伊庭内湖の342ヘクタールが干拓される。

この当時はまだ西の湖だけはイケチョウ貝による淡水真珠養殖が盛んでした。(現在は姿を消しています)

 
 昭和43年
  中の湖も昭和21年から干拓開始。
 22年かかって昭和43年(1968年)1145ヘクタールの干拓地が完成された。
   現 在